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【パニック障害 体験記 #21】一歩前へ

パニック障害になったかもしれないと告白した僕は、未だそのことが受けいられない自分と、奥さんに打ち明け理解してもらえた安堵感が入り混じり少し混乱していた。

 

「とりあえずご飯を食べよう」

 

声をかけてくれた奥さんは笑顔で僕にそう伝え、テキパキと夕食の準備に取り掛かっていた。いつも二人で夕食の準備をするので、僕も自然と体が動き台所に向かっていた。 

 

台所ではいつも役割分担が決まっており、基本的には奥さんが食材を切ったりして、僕がコンロ前で火を使うことになっている。次はアレして、その次にはコレを焼いてと奥さんが僕に伝える中で不意に、

 

「明日、病院に行ってみない?」

 

そう僕に言ってきた。

 

僕は、今まで自身に起きていた謎の体調不良の原因が「パニック障害かもしれない」と、つい先ほどパソコンで知ったばかりだったので「病院に行く」という現実的な手段までは考える余裕すらなかった。

 

奥さんの提案は当たり前のことであり、今の僕に必要なことは病院に行くことが最善の選択であるのは間違いなかった。しかし、突然告げられた”現実”に対して何の構えもしてなかった僕はすぐに返事をすることができなかった。

 

少し静かな時間が経過してから奥さんが

 

「私、明日は仕事お休みだから一緒に行くよ」

 

仕事が休みということで、奥さんが一緒に病院に行ってくれるというのだ。
実際のところ、一人で病院に行ってもまた気分が悪くなったり、耐えられないほどの吐き気が襲ってきたらどうしようと不安に思っていたので、この奥さんの一言で僕は病院に行くことを決心した。

 

「ありがとう、パニック障害の可能性がある以上、遅かれ早かれ受診しないといけないと思ってたし、病院に行くのが不安なのも事実だから一緒に行ってくれるのは嬉しい」

 

そう答えた僕は、不思議と先ほどまで抱いていた不安はどこかへ行き、何なら早く病院に行って白黒させて欲しいぐらいの気持ちにまで変わっていた。

 

奥さんが僕に言ってくれた一言が、あんなに不安だった気持ちを柔らげ、同時に勇気を与えてくれたことが嬉しくて仕方がなかった。最も信頼している人からの言葉が、こんなにも力になるとは想像の範疇を優に越していた。

  

僕は奥さんからの言葉を受け、確実に一歩前へ進める気持ちになることができた。

 

夕食後、パソコンで地域の病院を探して幾つかの候補を挙げることができた。近すぎると万が一知り合いに出くわす可能性があるので、車で30分ぐらいにある規模の大きなY病院にすることに決めた。

 

明日は泊まりの仕事だ。泊まりの時は普通に日中勤務して、夕方から泊まりの業務に移行する。そのため、午前中に受診してから終わり次第会社へ行くことにした。朝早くからの連絡は悪いと思い、夕食時ではあるが会社の事務員Uさんに連絡を取り、有休を使うことを伝えた。

 

少なくとも、ここ最近の中では気持ちは前向きだった。
1ヶ月前から始まった謎の体調不良の原因が、明日分かるのは嬉しいがそれと同じくらい不安がある。

 

時刻は23時をまわり、明日の受診のために早めベッドに入ることにしたが、なかなか寝付けない。どうしてもパニック障害のことが気になり、パニック障害のことをスマホで検索してしまう。

 

いいことなんて何も書いていなかった。薬の副作用が酷いとか、パニック障害になって十数年経つが未だ治らないなど…検索しない方が良かった。ゴソゴソしている僕に気付いた奥さんは

 

「大丈夫、心配なのは分かるけど今は寝て明日に備えよっ」

 

無駄に考え過ぎて頭がいっぱいになっていた僕は、その言葉に安心してゆっくりと眠り始めた。

 

 

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