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【パニック障害 体験記 #18 】真実が知りたくて

帰り支度を終え、関係者出入り口に向かうと丁度外回りから帰ってきた後輩のM君と出くわした。こっちに気づいたM君は開口一番
 

「お疲れ様です、珍しく今日は早いんですね」

 

M君は年下だが真面目で仕事ができ、誰からも好かれるいわゆる「いい奴」だ。そんなM君とは飲みに行ったり公私ともに相談に乗るなどして、個人的に可愛がっている後輩の1人だ。

 

「ちょっと用事があってね。しかも明日は泊まり(宿直)だし、準備しないと」

「泊まりですか?大変ですね。この間泊まりだった気がしますけど」

 

基本的に泊まりは1週間に1度の間隔で回って来るが、家庭の事情などで交代することが頻繁にあり、ひどい場合だと週に2回ほど回ってくる。

 

家庭の事情で代わってほしいとお願いされると、断るのが酷い人間に見えてしまうから代わるしかない。

 

きっと、この性格を読まれて僕に代わってほしいと頼んでくる同僚もいるだろう。もはや、前回いつ泊まりだったかも忘れてしまうほどだ。

 

ちなみに、ここ数年は大晦日もしくは元旦どちらかが泊まり業務だった。そして、ここ10数年の間、年末年始に休みになった記憶がない。

 

もちろん、家庭を言い訳にして年末年始の泊まり業務をしていない社員は結構いる。

 

そんな時の勤務の穴を埋めるのが、中間管理職的なポジションの僕たちだ。

 

「そうだっけ、もはや前の泊まりの日なんて覚えてないわ(笑)」

「それマズイですよ、覚えてないなんて。疲れてるんじゃないですか?僕でよければ交代するんで、いつでも言ってください」

 

後輩なのにいつも感心させられる、本当にありがたい存在だ。

僕は「ありがと」と一言伝え、駐車場に向かった。

 

会社を出て近くの信号で止まると、会社に向かっている営業車とすれ違う。僕の存在に気づいて手を振る人もいれば、気づかない人もいる。

 

みんな忙しそうにしてるが、会社に戻ってもすぐには帰れないはずだ。 今日1日のまとめ的な業務や明日の準備など、やることは山のようにある。

 

「何だか、皆に申し訳ない…」

 

車を走らせること20分、見慣れたアパートに到着した。

 

アパートの駐車場にはまだ車は少ない。だいたいアパートの住人は18時頃を目安に帰ってきている人が多い。当然、僕の奥さんもまだ帰ってきていない。

 

玄関を開け、室内に入ると締め切っていた部屋からムンとする淀んだ空気が溜まっているのが分かる。すぐに窓を開け網戸にする。

 

新鮮な空気が入り込み、人の生活がまた動き出す準備が始まった。

 

今日は前回しなかったことをするつもりだ。それは、この不可解な謎の体調不良が何なのか調べること。1ヶ月前の研修時に初めて体調不良になり、パソコンで原因を調べるつもりだったが、急に怖くなり勝手な理由をつけて調べなかった。

 

今日も出席した会議で謎の体調不良に見舞われた。さすがに、これ以上は知らないふりで過ごすわけにはいかない。

 

楽な服装に着替えてリビングでパソコンを開く。

 

検索ワードは「急な体調不良・めまい・動悸・嘔気」入力し終え、エンターキーを押すと出て来るサイトは一同に同じジャンルの病院ばかりだった。

 

「〇〇クリニック」

「▽▽病院 精神科」

「◎◎心療内科」

 

「えっ!」僕は思わず声を出してしまった。

 

出て来る名前が全て精神科系の病院ばかりだった。それを見た僕は急に不安感が増してきて、それと同時に動悸も早くなっていた。

 

今まで、この瞬間まで体調不良の原因は疲労などが原因だと思っていたし、他には内科系の不調かもしれないとも思っていたからだった。

 

そこでまさかの精神科系の病院…

 

僕は中でも、比較的明るい感じの名前が書いてあるクリニック名を恐る恐るクリックしてみた。はじめに大きく「誰でも起こり得るパニック障害」と書かれた文字がドーンと目に飛び込んできた。

 

「パニック障害?」

 

さっきよりも動悸が激しくなってきている。

 

その下には「すぐにできる簡単なパニック障害診断」という簡易検査に進めるバナーがあった。どうしようか一瞬ためらったが、意を決してそのバナーをクリックすることにした。

 

僕の指はかすかに震えていた。

 

 

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