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【パニック障害 体験記 #25】柔らかい言葉

緊張した僕は部屋の中をキョロキョロ見ていたが、いざ質問が始まると精神保健福祉士(以下、PSWと呼ぶ)からの質問に答えるべく質問内容をゆっくりと飲み込み、記憶をさかのぼりながら返答していった。

 

PSWから発せられる優しくて柔らかい言葉は、僕から緊張を取り除いてくれると言う不思議な効果も兼ねそろえていた。

 

質問の内容はこうだった。

 

  1. パニック発作が起きた状況とその後の様子
  2. 出身地
  3. 家族構成
  4. 独身か既婚か、また既婚の場合は子供はいるのか
  5. 兄弟がいる場合は兄弟の家族構成(姉がいたので、姉家族の構成)
  6. 趣味
  7. 好きな食べ物、嫌いな食べ物
  8. 睡眠時間
  9. 高校卒業以降の学歴
  10. 今までの就職状況(転職や今まで就職した会社のジャンルなど)
  11. 現在の職場に入ってからの立場や異動状況
  12. その他

 

僕が思っていた質問は、せいぜい1.のパニック発作が起きた状況とその後の様子ぐらいだったので、こんなにも多岐にわたっているとは思いもしなかった。

 

パニック障害に家族構成や学歴、また好きな食べ物や嫌いな食べ物が関係しているのか僕には分からないが、質問するPSWはいたって真面目に聞いてくるので、きっと必要なことなんだろう。

 

なかでも、姉夫婦の家族構成を伝えた時に姉夫婦の子供が男の子か女の子か聞かれた時には流石にビックリした。

 

質問を受ける中で、やはり僕としてはパニック発作が起きた時の状況を思い出しながら伝えるのが少し苦しかった。

 

その様子を思い出すことで再び”嫌な感じ”が少し襲ってくるようで軽い嘔気も出てきた。今思えば軽いパニック発作だったのかもしれない。

 

僕の異変に気付くとPSWはやはり柔らかいトーンで

 

「大丈夫ですよ。ゆっくり思い出してくださいね、時間はありますから」

 

こういった時、医療関係者だと当たり前の声掛けなのかもしれないが、僕としてはパニック発作が起きた時(研修と会議)には誰もこのような優しく心配してくれる人は当然いなかったので、この誰かに頼れるという状況が苦しいながらも嬉しく感じた。

 

今起きている現象(ちょっとしたパニック発作)を隠さなくてもいいという環境は、僕の心には相当響いたようでその後、病院から帰るまでは抑えられないような不安な気持ちは出てこなかった。

 

質問に一つ一つ答えるごとに「うんうん」「それはつらかったですね」と相槌をしてくれ、柔らかい言葉で話しかけてくれることで最後まで苦にならずに質問に答えることができた。

 

むしろ、誰にも言えなかった苦しい症状を話せたことで気分も楽になり、気付けば部屋に入ってから30分が過ぎようとしていた。 

 

一通り質問が終ると僕の方からPSWに一言聞いてみた。

 

「やっぱりパニック障害ですか?」

 

ちょっとした間があったが、やはり相手はプロで

 

「私から今の段階では何も分かりません。この後先生に診てもらいますので、先生が判断をされると思いますよ。心配だと思いますが少しおまちくださいね」

 

医師ではない立場から医師が診る前に何かしらの判断はできないということだろう。考えてみれば当然のことだ。

 

質問が終ると再び待合室に戻り次に呼ばれるまで待機しておいて欲しいと言われる。

 

待合室で待っている奧さんの横に座ると

 

「大丈夫だった?思ったよりも長かったから焦ったよ」

 

緊張した様子で僕が部屋に入って行ったのを見ているので、想像よりも時間がかかったことが心配だったようだ。

 

「 思いのほか楽に話せたよ。ちょっと嘔気が襲ってきたけど大丈夫だった。むしろ、色んなことを話せて少し楽になったような気もするし、これがカウンセリングてヤツなのかもね」

 

 そう話すと奥さんも安心した様子で

 

「よかったね」

 

とニコニコしながら僕に笑いかけた。

 

診察の本番はあくまでも精神科医に診てもらうことなのでまだ終わってはいない。

 

それまでは、少しの緊張と僅かな希望を胸に待つことにした。

 

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