パニック障害になってしまった人は、この衝撃的な出来事に驚きとショックで絶望に近い状態に追い込まれていると思います。
また同時に、どうすれば治るのか常に考えていると思います。
当然、一番初めに行うのは通院をして専門の先生に見解を聞くことです。そこで処方されたお薬を服薬しながら、徐々に回復への道筋を探っていくことになります。
それと同時に、ぜひ早めに行ってみて欲しいことがあります。それは信頼できる自分の近い人には、パニック障害になったことを伝えることです。
パニック障害になると毎日が苦しい
僕は当初、このパニック障害になってしまったことが受け入れられないと同時に恥ずかしくて、絶対に知られないようにしなくては!と思いながら生活していました。
考えてみるとこの秘密にしている間は何をするにも辛かったのを覚えています。
パニック発作に対する苦しみは当然のことながら、常に「バレないように、バレないように」「見つかったら変に思われてしまう」とビクビクしながら日常を送っていました。
今までと変わらず生活しようと思っていても、突然パニック発作が起きて苦しくなる。
それを繰り返しているといわゆる広場恐怖症になってしまい、今まで何の問題もなく同僚と行っていた店だったり、営業先に行けなくなってしまう…。
「バレないように…」思えば思うほど、動悸が激しくなり息苦しくなる。
そういった「発作が起きたらどうしよう?」という気持ちがパニック発作を誘発してしまい結果的にパニック発作が起きてしまう。
つまり僕の場合は、この自分に起きている状況を周囲に隠そうとすることが、かえってパニック障害の苦しみを継続させる原因の一つにもなっていました。
カミングアウトすることを決意
同僚にバレたら行けないと思いながら生活するも、これではあまりにも仕事に支障がありすぎると思い、一大決心をして今の状況を伝えることに。
幸い、同じ事務室で働いている人達とは普段から仲が良く、プライベートな相談もしていた間柄だったのでいつかは話さないと行けないと思っていました。
まず、信頼できる先輩(直属の上司)に声をかけ打ち明けることにしました。
「実は、最近調子が悪くて受診したらパニック障害と診断されました」
先輩は、ただ静かに頷いていましたが
「そっか、辛かったねぇ。こっちは何を協力してあげればいいのか分からないから教えて欲しい」
思わず涙ぐんでしまいました。
時代錯誤的な言葉を投げかけられるとは思っていなかったけど、その優しい言葉が心に染みて気づいたら2人でウルウルしてました。
僕から伝えたのは
- 特別に何かして欲しいことはないが、パニック発作が起きた時は外に行かせてもらいたい。
- 会議などで会議室を使用する際は、後尾の出入り口近くに座らせて欲しい。これは前の席に座るのが嫌なわけでなく、何かあった時に外に出られる安心材料が欲しいだけなので誤解しないで欲しい。
- しばらく出張や研修への参加は難しいので配慮をお願いしたい。
そして最後に ※これが重要
- この病気のことは他言しないでもらいたい。必要な時は自分の口から説明をしたい(他の人から説明すると上手に伝わらず誤解を招いてしまう可能性があるため)
以上の4点をお願いとして伝えました。
先輩はその都度「そうすればどうなるの?」「じゃあ、これはしない方がいいね」「これはやらない方がいい?」と理解しようと努めてくれました。最後に
「それでもキツい時はいつでも言ってちょうだい。何とかするから」
先輩から発せられる言葉一つ一つに有難さと感謝の気持ちがわきあがり、もう少し早く話しておけば良かったと心から思いました。この先輩に話した会話と同じように他の社員さんにも一人ずつ伝えました。
ほとんどの人がびっくりすると同時に「治るんだよね?」「あんなに元気だったのに何で?」と心配してくれました。もちろん上司にも伝え概ね皆と同じような反応でしたが、皆とは少しだけ違う反応も見せました。
このことは今、同時にブログに書いている体験記でも触れる予定なので是非、体験記を読んでもらえればと思います。
カミングアウト その後…
同じ事務室で働く人に自分の現状を伝えたところ、明らかにパニック発作の回数が減っていくことを実感しました。
もちろんパニック障害になった人が全てこの方法で良い結果を得られるか分かりませんが、少なくとも僕は良い方向に進みました。
毎日行われる朝礼の時には、僕は司会をすることが多かったのですが、先輩が代わってくれることで「朝礼中にパニック発作が起きたらどうしよう」という心配から起きていた動悸やソワソワする感じが日を追うごとになくなりました。
また、会議の時は一番後ろの席の出入り口付近に座ることで、何かあっても直ぐに出られる安心感を得ることができてからは「会議室から不用意に出られないという恐怖感」が薄くなり、これも徐々に動悸やソワソワ感も減ってきました。
パニック障害は脳のバグ
本来人間が持っている恐怖を感じることは、危機管理上非常に大切なことです。
動悸や震えはその場から逃げなくては死んでしまう!と脳が発する危機管理システムの一つなのです。
その危機管理システムが何らかの理由で誤作動を起こして、危機的状況でもないのに危機管理システムが発動してしまうのがパニック発作なのです。
そんな中で脳が勘違いしていることを正していくことも大切になってきます。
- ここに居ても大丈夫
- 誰も変な目で見ていない
- 恐怖を感じたらいつでも外に出て行っても大丈夫
この3つのことを何度も自分自身に対して語りかけました。
それを繰り返し行うことで、徐々に苦手としていた空間に滞在できるようにもなり、時間はかかりましたが、最終的に職場でパニック発作は起きなくなりました。
テレビで活躍されている長嶋さんもパニック障害に苦しめられていた一人です。僕はこの本を読んで希望が持てたので興味がありましたら是非、一読してみてください⤵
さいごに
このカミングアウトは、大前提として周りの理解と協力がなければ不可能だったと思います。
僕は信頼できる人に現状を話すことで、結果パニック障害になってしまう前に出来ていた普通のこと(会議や営業回り等)がまた出来るようになり、行動範囲も徐々に回復していくのを実感できるようになりました。
病気のことは誰にでも話せばいい訳ではないと思います。
実際、僕は皆に話したのではなくて、あくまで信頼できる人にだけです。人によっては心ないことを言ってくる人もいるかもしれません。
しかし、自分が心許す人には是非、自分の置かれている現状を伝えてみてください。
きっと生活に変化が生まれ、少しずつですが希望が見えてくると思います。