【パニック障害 体験記 #6 】ため息

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あっという間に30分が経過し、天井の模様がぼんやりと見えてきた。

 

「はぁ〜」

 

深いため息とともに何で寝ているのか分からなかった。

 

事務室から聞こえる音で僕が隣の部屋で寝ていたことを思い出した。この部屋は畳が敷いてあることから、ほのかに畳の匂いがする。

 

いつもなら気にしないが畳の匂いがやけに強く感じ心地よく無い。

 

だる重い体に気合を入れ起き上がろうとするが、まためまいが起きるんじゃ無いかと恐怖がよみがえってくる。

 

「うん、大丈夫だ」 

 

大きく息を吸い深呼吸をする。こんなに深呼吸を意識したことは無い。

 

体いっぱいに新鮮な空気を取り入れた僕の頭は、通常運転とまではいかないが午前中のような重苦しい感じはしなかった。

 

事務室へ戻るとほとんどの社員は退勤したようで数人しか残っていない。

 

サービス残業が当たり前の職場ではあるが、職種によっては定時に終えることができる。もちろん僕は定時など「形」でしかない職種だったため、定時に退勤したのはここ数年記憶に無い。

 

当然、有休消化は夢のまた夢。年度末に残っている繰り越せない20日分ほどの有給は、消化せずに捨てて次年度を迎えることが暗黙の了解となっている。

 

会社は何も言わずむしろ、それが当たり前という空気を作っている。それでも「有給は使うように」とアナウンスするが、それは労基署対策であり、使わなかった僕たちが悪いという風にする作戦だ。

 

使える空気はなく、また使うと他の社員に迷惑がかかるので使えない。

 

まさにブラック企業である。

 

部屋から出てきた僕に気づいた先輩社員が声をかけてきてくれた。

 

「大丈夫?さっきはすごい顔色悪かったけど、今は随分ましね」

「すいませんでした、何か朝から調子が悪くて・・・」

 

会話をしながらも残っている仕事が気になって、心配してくれている言葉が素直に頭に入ってこない。信頼している先輩だったため午前中に起こった出来事を相談しようかと思ったが、自分でもその「今までにない状況」が怖くて話せる勇気がなかった。

 

デスクに戻って残った仕事に手をつけるが、今朝からの出来事が気になり手が進まない。そうこうしているうちに、一人また一人と退勤していき最終的には僕一人になっていた。

 

いつもの状況ではあるが、なぜか今日は一段と寂しさを感じる。

 

ふと時計を見ると19時を回っており、このまま仕事を続けてもはかどるとは思えず今日は退勤することにした。

 

事務室の電気を消し、暗い廊下を進み関係者出入り口へと向かう。気付けばため息しかしていない。

 

重い扉を開けると「むわっ」とした空気が顔をかすめ、6月に入ったばかりだと言うのに湿気を含んだ空気が梅雨の始まりを感じさせていた。

 

「もうすぐ梅雨かぁ、嫌な季節が来るな」

 

誰に話しかけるわけでもなく一人つぶやいていた。

 

 

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